主な症状別の対処法

経過観察

熱を出したとき

子どもは大人に比べて体温が高めです。
寝起きや夕方から夜にかけて37℃を超えることはよくあります。このような体温上昇や体温変化は生理的で普通の事です。
38℃以上の発熱は、ウイルスや細菌が体内に入ったときに排除するための防御反応です。
大人に比べて子どもの方が高い熱を出すちからを持っています。熱があっても元気が保たれている場合には心配ありません。

【ホームケアの要点】

〇水分を少量ずつこまめに摂らせましょう

熱があるときには発汗などにより脱水になりやすいです。
水分の種類は、可能であればイオン飲料など塩分などの電解質が含まれているものが望ましいですが、水分を摂りたがらないときは、シャーベットにしたり、水分を多く含むゼリーなど本人が好むものでかまいません。

〇涼しいかっこうをさせましょう

本人が望まなければ、暖かいかっこうをさせる必要はありません。
さむけ(悪寒)が強い時には、暖かくしてあげると和らぐことがあります。
大人が暑いと感じるレベルまで暖房をかけたり、布団をかけすぎたりする必要はありません。

〇入浴は短時間にしましょう

熱があるときには脱水になりやすいので、長時間の入浴は避けましょう。
シャワーなどを使用して短時間で済ませるとよいでしょう。

〇解熱薬は本人の苦痛に合わせて使用しましょう

解熱薬で下がるのは1℃程度と言われています。
寝る前や食事の際など、本人が楽になるように使用してあげるという考え方が良いです。
コラムでも書きましたが、基本的には熱自体により重症になったり後遺症につながることはありませんので、慌てて解熱薬を使用する必要はありません。
小児の解熱薬は基本的に「アセトアミノフェン」を使用します。

【観察ポイントと受診のタイミング】

熱の高さは重症度と関係ありません。
熱が高くても本人がある程度元気であれば心配いりません。
以下のような症状に注意しましょう。

  • 1)ぐったりして反応が悪い
  • 2)胸やのどの下がへこむような呼吸をしている
  • 3)顔色や唇の色が悪い

救急要請して救急受診

  • 1)哺乳量/水分量がいつもの半分以下
  • 2)好きなものに興味を示さない
  • 3)尿がいつもの半分以下

救急外来に受診相談

  • 熱が3日以上続く場合

かかりつけ医/クリニック受診

  • 他の症状を伴う場合

それぞれの症状ページを参照してください

発熱恐怖症

発熱のせいで子どもの脳が障害を受けるのではないかと親が不安に思うのは自然なことです。
世界中の多くの親が同じ気持ちになっていると報告されていて、この考えを“feverphobia(発熱恐怖症)”と呼びます。
しかし、実際は発熱のせいで脳が障害を受けることはありません。
例外は熱中症などの高体温や脳損傷があるときの高体温です。
また、発熱を伴う疾患の中に急性脳症、敗血症など脳に障害を及ぼす可能性があるものが混ざっているので注意は必要です。
見分けるには熱自体よりも全身状態、意識状態の方が重要です。熱の高さと重症度や緊急性は比例しません。

 

 

熱のかたち(熱型)について

最も一般的な風邪(ウイルス感染)による発熱は一日の中で変動することは特徴です。
多くの場合、朝から夕方までは熱が下がり元気もありますが
夕方から深夜にかけて熱が上がり、少し元気がなくなってきます。
実際は風邪であれば様子を見てよいのですが、親にとってはかかりつけ医の受診が難しくなる夕方から深夜にかけて悪くなってるように見えるので救急外来を受診するかとても悩まれると思います。
日中元気な姿を見せてくれていた子どもが夜になり熱が上がって元気がなくなってくると、「風邪だと聞いていたのにほかの病気なのではないか?」「このまま悪くなったらどうしよう?」「明日は登校/登園可能かなと思っていたのに予定も狂うし、、」と悩みながら長い夜を過ごした経験は多くの親に共通のものでしょう。