主な症状別の対処法

経過観察

喘息の発作が出たとき

喘息発作は、気管支以下の細い気管が細くなり、呼吸がしづらくなった状態です。
特に息を吐きづらくなることが特徴です。
そばにいると息を吐くときにひゅーひゅーという音(呼気性喘鳴)が聞こえることがあります。

【ホームケアの要点】

喘息発作は重症度によって必要な対応が変わります。
酸素や点滴治療が必要な発作であれば救急受診、入院が必要になります。
喘息と診断されていなくても、RSウイルスなどの感染により気管支炎や細気管支炎を起こすと喘息と同じような症状になることがあります。この場合も、基本的な対応や観察ポイントは同じです。

〇注意したほうが良い呼吸の仕方

次のような呼吸をしているときには呼吸困難を努力で補っていることが推測されます。

  • 胸やのどの下がへこむ(陥没呼吸)
  • 鼻の穴がひくひくする(鼻翼呼吸)
  • 肩が上下する(肩呼吸)
  • 横になれない(起坐呼吸)
  • 口をすぼめて息を吐いている(呼気延長)
  • 呼吸が早い(多呼吸)
〇発作時の対応

横になるのがつらい時には、上半身を起こして何かにもたれかかる姿勢にしてあげましょう。
部屋の加湿を十分に行いましょう。
せき込みと共に吐いてしまう場合や食事が摂りにくい場合でも、水分を積極的に摂らせてあげましょう。水分が不足すると痰が硬くなりやすくなってしまいます。

〇喘息と診断され発作薬(吸入や内服)を処方されている場合

医師の指示通りに試してみてください。
それでも症状が改善しない場合には救急受診をしましょう。

【観察ポイントと受診のタイミング】

発作があっても、睡眠、食事、遊びがある程度保たれていれば心配いりません。
以下のような症状に注意しましょう。

  • 1)会話ができない、声が出ない
  • 2)胸やのどの下がへこむような呼吸をしている
  • 3)顔色や唇の色が悪い

救急要請して救急受診

  • 1)横になれない
  • 2)呼吸が早い(目安:1分間に40回以上)
  • 3)哺乳量/水分量がいつもの半分以下
  • 4)処方された発作薬で改善がない

救急外来に受診相談

  • 発作が続く場合

かかりつけ医/クリニック受診

  • 他の症状を伴う場合

それぞれの症状ページを参照してください

呼吸器症状は深夜から明け方に悪くなる

人間や動物には一日の中で周期的に働く生体リズムがあります(日内変動)。
このリズムの元になっているのは、交感神経と副交感神経からなる自律神経です。
簡単に言うと、戦闘用の交感神経とリラックス用の副交感神経という性質があります。
人間は、日中の活動的な時間には交感神経、夜間の休息時間には副交感神経が優位に働くようになっていますが、合理的な反応と言えます。
気管の太さや気道分泌物(痰など)の量も自律神経の支配を受けていますので、日内変動します。副交感神経が優位になると、気管(特に気管支以下の細い部分)は細く、気道分泌物は多くなる傾向があります。
ですから、呼吸器症状は深夜から明け方に悪くなりやすいと言えるのです。
苦しそうなお子さんを目の前に、救急受診した方が良いかどうか悩みながら、「眠れぬ夜」を過ごした経験を持つ親御さんも多いのではないでしょうか。